シモン・マグス(Simon Magus)

WIKIPEDIAより。

シモン・マグス(Simon Magus)は、聖書に登場する人物でグノーシス主義の開祖ともいわれる。別名は魔術師シモン。サマリア人

人物

新約聖書によると使徒フィリポによって洗礼をうけキリスト教に入信。ペテロとヨハネ聖霊を授けられる力を金で売って欲しいと持ちかけ叱責を受ける(シモニア)。終には自らの魔術によって空中を浮揚しペテロに対し挑んだが、ペテロが神に祈りを捧げると忽ち墜落し落命した。


以下「イエスの実像」サイトより拝借。

シモンの教義

「エンノイア」と呼ばれると呼ばれる至高神が最初の流出を起こし活動を開始、その神より劣るものが世界を創造し支配している。だからこの世界は悪に満ちたものであり、人間の魂が物質世界にとじこめられてしまった。シモンは、こうした物質に閉じ込められた魂の解放者であり、解放のための「呼びかけ」を行った。彼の信徒達は、彼を「至高の力」を示す神の体現者であったと伝える。肉体に閉じ込められている霊が高まれば、人間は神と同等の力を持つという考え方を人々に説いた。

シモンはヘレナと呼ばれる女性を常に随行させていた。キリスト教界側の記録では、「彼女はシモンによって売春宿から身請けされた女性である。彼の信者達は、この女をシモンから生み出された第一の思考の流出、エンノイアであると言う。この女はあらゆる人間の母であり、天使をも創造した。そして天使たちは世界を創造したが、やがてヘレナを妬むようになり、彼女を人間の肉体の中に幽閉した。こうして彼女は物質的な肉体に幽閉されたまま、何世紀もの間、転生を続けたが、売春婦として生まれ変わっていたところに、救済者となって天から降りてきた神であるシモンによって見出され解放された。ヘレナを幽閉した天使たちは、世界を支配するためにこの世を悪く治めた。彼ら天使の首長は、旧約聖書の神と同一である(デミウルゴス)。そこで、こうした事態を正すために、至高神たるシモンは降臨した。彼はまずヘレネを覚醒させ解放する。そして、全ての人類に救いをもたらそうとしている。この救世主をユダヤ教徒の一部は受難したと見なしているが、本当は受難したのではない」とされた。

「だからあなたに対しては言いたいことを言い、書きたいことを書こう。そして書きたいことというのは次のようなことだ。宇宙的なアイオーン(実体・空間・天体に能産的かつ所産的生命力が現われる時期、次元、月期)には、初めも終りもない二つの流出物があり、それらはひとつの『根』から噴出する。『根』は不可視なる力、把握不可能な『沈然』(ビュトス)である。この流出物のひとつは、上から現われるもので、『偉大な力』、万物を支配する『宇宙精神』、『男性』である。一方は下から現われるもので、『偉大なる思念』、万物を生み出す『女性』である。両者の結合によって二つは結びつき、『中間距離』、初めも終りもない把握不可能な『風』を出現させる。このなかに万物を支える『父』が存在し、初めと終りをもつ事物を養うのである」。
ナグ・ハマディ文書 1 ヒッポリュトス『全異端反駁』および、マンリー.P.ホール邦訳『徴哲学大系I』より

 

aeon / aion (アイオーン / アイオン)
グノーシス主義者と光明会の「太陽(男根神)」。「アブラサクス(アブラクサス)」とも呼ばれる「獅子頭の神」。プレーローマ(天上世界)を構成する世界層。エイレナイオス著『異端反駁』による30のアイオーンは以下の通り。



性神
ギリシア語男性名詞)

性神
ギリシア語女性名詞)

オグドアス
(8つ組)
ビュトス(深淵) エンノイア(思考)
ヌース(叡知) アレーテイア(真理)
ロゴス(言葉) ゾーエー(生命)
アントローポス(人間) エクレーシア(教会)

デカス
(10つ組)
ビュテイオス(深みに在る者) ミクシス(交わり)
アゲラートス(不老の者) ヘノーシス(一致)
アウトヒュエース(自ら成長した者) ヘードネー(快楽)
アキネートス(不動の者) シュンクラーシス(混合)
モノゲネース(独り子) マカリア(幸福)

ドーデカス
(12つ組)
ラクレートス(援け主) ピスティス(信仰)
パトリコス(父に属する者) エルピス(希望)
メートリコス(母に属する者) アガペー(愛徳)
アエイヌース(永遠の叡知) シュネシス(理解)
エクレーシアスティコス(教会に属する者) マカリオテース(幸せ)
テレートス(欲せられた者) ソフィア(知恵)
また、約2千年を1周期とする期間も「アイオーン」と呼ばれ、クロウリーによれば1904年以降が「ホルスのアイオーン」で、その前は「オシリスのアイオーン」となっている。

archigenetor (アルキゲネトール)
「無知の者」。「最初に生み出す者」。暗黒のアルコーン。ナグ・ハマディ文書『三体のプローテンノイア』での「混沌」と「陰府」の支配者。ナグ・ハマディ文書『この世の起源について』では、アルキゲネトールがアダム創造の主謀者となって、その脳と髄を造るシーンが書かれている。

archonS (アルコーン達)
「水の上を揺れ動くプネウマ(霊)」。「劣等世界」を支配する「邪悪な権力」。「陰府」と「混沌」の支配者。デミウルゴスと、その取り巻き。プレーローマ(天上世界)よりも下の領域を構成する世界層。ベルリン写本『8502』等による、黄道12宮と「惑星」に配属されたアルコーンは以下の通り。



登場順と姿

名前(殆どが意味不明)

女性的勢力

黄道12宮のアルコーン
第1の者 ヤオート
第2の者 ヘルマス
第3の者 ガリ
第4の者 イョーベール
第5の者 アドーナイオス
第6の者 サバオート
第7の者 カイナン、カエー、カイン
第8の者 アビレッシネ
第9の者 イョーベール(第4の者と同名)
第10の者 ハルムピアエール
第11の者 アドーニン
第12の者 ベリアス

7惑星のアルコーン
(週の7つ組)
ライオンの顔をした者 ヤオート 予見
ロバの顔をした者 エローアイオス 神性
ハイエナの顔をした者 アスタファイオス 支配
7頭の蛇の顔をした者 ヤオ 火
竜の顔をした者 アドーナイオス 王国
猿の顔をした者 アドーニ 洞察
ぎらつく炎の顔をした者 サバタイオス 知恵
ナグ・ハマディ文書『エジプト人福音書』等による、12人のアルコーンは以下の通り。

登場順

名前

第1の天使 アトート、人間達の大いなる諸世代から?????と呼ばれる者
第2の天使 ハルマス、火の目
第3の天使 ガリ
第4の天使 ヨーベール
第5の天使 アドーナイオス、サバオート
第6の天使 カイン、人間達の大いなる諸世代から太陽と呼ばれる者
第7の天使 アベル
第8の天使 アキレッシナ
第9の天使 ユベール
第10の天使 ハルムピアエール
第11の天使 アルキル・アドーニン
第12の天使 ベリアス
ナグ・ハマディ文書『この世の起源について』等による、カオスから出た7人のアルコーンは以下の通り。

男性名

女性名

アルキゲネトール(ヤルダバオート) プロノイア・サンバタス
イャオー 支配
サバオート 神性
アドーナイオス 王国
エローアイオス 妬み
オーライオス 富裕
アスタファイオス ソフィア

autogeneS (アウトゲネース)
「独り子」。「自ら生まれた者」。塗油される前のキリスト。ナグ・ハマディ文書『エジプト人福音書』でのバルベーロの霊的息子。ナグ・ハマディ文書『ヨハネのアポクリュフォン』では、ソフィアがアウトゲネースの力を借りて、アルコーンから神的力を取り戻そうと策するシーンが書かれている。

barbelo (バルベーロ / バルベロ)
セム語、アラム語に由来すると考えられる意味不明の造語。ソフィアと同一視される存在。バルベーロ派によって崇拝される母神。ナグ・ハマディ文書『ヨハネのアポクリュフォン』で「見えざる霊(至高神)」のエンノイア(思考)から生まれた(「見えざる霊の影像」「プロノイア」等とも呼ばれる)第1のアイオーン。ナグ・ハマディ文書『ヨハネのアポクリュフォン』で「第1の認識」「不滅性」「永遠の生命」等のアイオーン群の親である両性具有神。ここで「第1の認識」「不滅性」「永遠の生命」と呼ばれる女性名詞のアイオーン群には「独り子」「叡智」「意志」と呼ばれる男性名詞のアイオーン群が配属される。

chelke (ケルケ)
「中間の場の雲」もしくは、その中に居た者。デルデケアスの衣の1つ。ナグ・ハマディ文書『シェームの釈義』で、4つに分裂したピュシスの一形態(「力の雲」)。

chelkea (ケルケア)
「沈黙の雲」もしくは、その中に居た者。「2つの形をした者」。デルデケアスの衣の1つ。ナグ・ハマディ文書『シェームの釈義』で、4つに分裂したピュシスの一形態(「胞衣の雲」)。

chelkeak (ケルケアク)
「驚愕から来た者」。「処女膜の雲」もしくは、その中に居た者。三態の雲の姿で現れた者。デルデケアスの衣の1つ。ナグ・ハマディ文書『シェームの釈義』で、4つに分裂したピュシスの一形態(「処女膜の雲」)。

demiourgoS (デーミウルゴス / デミウルゴス
「創造者」を意味するギリシア語。ソフィアの息子。旧約聖書の神と同一視される存在の総称(ベルリン写本『8502』等でのサクラス(馬鹿者)、エイレナイオス著『異端反駁』等でのヘブドマス(7つの者)、ナグ・ハマディ文書『ヨハネのアポクリュフォン』『この世の起源について』『三体のプローテンノイア』等でのヤルダバオート、ナグ・ハマディ文書『ヨハネのアポクリュフォン』等でのプロートアルコーン、ナグ・ハマディ文書『アルコーンの本質』等でのサマエール(または獣)、ナグ・ハマディ文書『この世の起源について』等でのアリエール(または第1のアルコーン(支配者)またはアルキゲネトール)、ナグ・ハマディ文書『三体のプローテンノイア』『エジプト人福音書』等でのサクラ、ナグ・ハマディ文書『三部の教え』等での「父」「神」「造物主」「王」「裁き人」「場所」「住まい」「法」、ナグ・ハマディ文書でのパントクラトール(万物の支配者)またはコスモクラトール(宇宙の支配者)、プトレマイオス派でのメートロパトール(母父)またはアパトール(父なき者)またはパテール(父)等々)。ナグ・ハマディ文書『ヨハネのアポクリュフォン』では不完全で醜悪な姿として描かれ、蛇やライオンにも譬えられている。

derdekeaS (デルデケアス)
「光の御子」。「光の声で語った者」。プレーローマの一形態。ナグ・ハマディ文書『シェームの釈義』での啓示者。

elorchaioS (エロールカイオス)
「大いなる光」。プレーローマの一形態。デルデケアスの出現元。ナグ・ハマディ文書『シェームの釈義』でのロゴス。

ephinoia (エピノイア)
「配慮」を意味するギリシア語。「無垢なる者」。「憐れみに富む霊」。「全被造物に働きかける者」。ソフィアと同一視される存在(もしくは、その神的力)。ナグ・ハマディ文書『ヨハネのアポクリュフォン』では、光のエピノイアが(ソフィアの過失を修正する為)アダムの中に潜り込むシーンが書かれている。

molychthaS (モリュクタス)
「風」。ナグ・ハマディ文書『シェームの釈義』によると、彼は蛇や一角獣に似ていて、様々な形の翼から成る突起部を持っているという。


アイオーン





移動: 案内、 検索


アイオーン(ギリシア語: αἰών; aiōn,ラテン語: aeonまたはæon,英: aeon又はeon)とは、古代ギリシア語である期間の時間を指し、時代や世紀、人の生涯というような意味である。ラテン語の Saeculum やサンスクリットの kalpa(कल्प; 漢訳では「劫波」)がこれに似た意味を持つ。

アイオーンは、紀元2世紀より5世紀頃にかけて、ローマ帝国内やその辺境地域で興隆した、グノーシス主義における高次の霊、あるいは超越的な圏界を示す意味で使用されたので、宗教学的・思想的にはこの意味でよく知られている。




目次
[非表示] 1 古代ギリシア 1.1 ギリシア哲学
1.2 ギリシア神話

2 神秘主義 2.1 グノーシス主義 2.1.1 プレーローマ
2.1.2 ソピアー神話

2.2 ユングの元型象徴

3 自然科学 3.1 地質学
3.2 時間の単位

4 アイオーンの像
5 関連項目
6 参考書籍
7 外部リンク


古代ギリシア[編集]

ギリシア哲学[編集]

アイオーンは「時代」や「ある期間」を意味し、占星術における魚座の時代、水瓶座の時代などの時代と通じるところがある。魔術やオカルトにおいては、「テレマ(w:en:Thelema)」の概念と関係する。世界の文化一般に、様々な時代があり、特徴のある時間の期間があるという概念は一般である。

一方、アイオーンを哲学的に思索して行くと、この現象世界における時間のありようがアイオーンであるとも考えられる。歴史もまたアイオーンで特徴付けられる。このような背景で、プラトーンはアイオーンを「永遠」の意味で使ったことが知られる。

ギリシア神話[編集]

ギリシア神話は自然現象を擬人化して神や精霊と見なしたが、抽象概念なども神と見なした。時間の神は、クロノスが有名であるが、季節や秩序の女神としてのホーラもまた存在した。

アイオーンもまた神と見なされ、当初の意味はともかく、永遠・永劫を象徴する神ともされた。通常、「時間の神」として知られる。

神秘主義

ヨハネ福音書 冒頭
Wycliffeの翻訳写本(14世紀)。中段より本文が始まり、中世英語で「 In þe bigynnyng was / þe word & þe word / was at god / & god was / þe word. 」と記されている。これはグノーシス主義と関連がある。

グノーシス主義

1966年の「グノーシス主義の起源に関する国際学会」等の定義によれば、グノーシス主義は、以下の点をふまえた神話を創作することが一般であると考えられている。
1.反宇宙的二元論: この世界は悪であり、この世界を創造した劣悪な神とは別に、善なる「至高者」が存在する。
2.人間内部に存在する「神的火花」「本来的自己」への確信: 人間は、劣悪な造物主に創造されたが、人間の内部には至高者に由来する要素が閉じこめられている。
3.人間に「本来的自己」を認識させる啓示者・救済者の存在: 以上のことを知らない人間に対して、至高者の下からそれを知らせる使いがやって来て、認識を促す。

この「至高者」の下には、至高者に由来する諸の神的存在があり、グノーシス主義の創作神話では、この神的存在を「アイオーン」と呼ぶ。
キリスト教グノーシス主義

キリスト教グノーシス主義では、人間に「本来的自己」を認識させる啓示者・救済者とは、もちろん「イエス」であり、イエスは「父なる神」(=至高者)の下から派遣され、旧約聖書の創造神(=劣悪なる造物主)の束縛から人間を解放するため、「本来的自己の認識」を説く福音をもたらしたという神話を持つ(神話の詳細は、グノーシス各派により異なる。)。

キリスト教グノーシス主義は、異端であるとして、正統派・主流は教会から反駁されてきた。紀元2世紀のリヨン司教であったエイレナイオスや、3世紀のローマ司祭であったヒッポリュトスなど反駁書を記している。ヒッポリュトスは、グノーシス主義の教義や神話などが、ギリシア神話プラトンの思想や、その他、諸々の素材を元に創作したものであるという説を唱え、「アイオーン」という用語もまた、ギリシア神話プラトーンの著作から借用したものだと述べた。

このように、伝統的には、グノーシス主義は、諸宗教の要素が混淆したシンクレティズム宗教に過ぎないと考えられていたが、とくにナグ・ハマディ写本の発見により、非キリスト教グノーシス主義の存在が知られるようになり、現在では、グノーシス主義を、単なる混淆宗教、とりわけキリスト教ギリシア哲学や東方の諸宗教の要素を加えただけの異端説として論ずる学者は少ない。

以下に、グノーシス神話における諸の「アイオーン」について概説する。

プレーローマ

プレーローマ(オグドアス・アイオーン)
グノーシス主義におけるアイオーンは、高次の霊または霊的な階梯圏域で、アイオーンこそは「真の神」で、ユダヤ教キリスト教などが信仰している神は、「偽の神」である。またアイオーンは複数が存在し、プレーローマと呼ばれる超永遠世界にあって、男性アイオーンと女性アイオーンが対になって「両性具有」状態を実現している。

紀元2世紀の大ウァレンティノスと呼ばれるグノーシスの思想家の高弟であるプトレマイオスの説では、プレーローマには、男女を一対として、四対、合計八体の至高アイオーンが存在するとされる。それらは、オグドアス(8個の集まり)とも呼ばれ、次のようなアイオーンで構成される。
プロパトール − 伴侶:エンノイア(思考)
ヌース −伴侶:アレーテイア(真理)
ロゴス − 伴侶:ゾーエー(生命)
アントローポス − 伴侶:エクレシア(教会)

伴侶は女性アイオーンである。アイオーンの筆頭に来るのは「プロパトール」であるが、この名は「先在の父」とも訳され、超越性の更に超越性にあるとされる。プロパトールとは何かは、人間は無論のこと至高アイオーンであるオグドアスのアイオーンもまた、それを知ることはなかったとされる。プロパトールは、ビュトス(深淵)の名でも呼ばれる。またオグドアスはプレーローマの中心であるが、そのなかにあって更に上位の四アイオーンは、テトラクテュス(4個の集まり)と称する。

グノーシス主義では、新プラトン主義のプロティノスの考えを取り入れ、「流出説」を提唱した。ウァレンティノス派では、原初、先在の父(プロパトール)が唯一存在し、プロパトールは流出によって諸アイオーンを創造したとされる。

ソピアー神話[編集]

グノーシス主義においてはまた、アイオーン・ソピアーの失墜とその回復、分身の地上への落下の物語が記されている。グノーシス文献『この世の起源について』などにおいては、この世界がいかにしてデーミウルゴスによって創造され、人間の悲惨の運命が始まったのかを神話の形において説話している。

アイオーン・ソピアーはプレーローマにおける最低次のアイオーンであったが、知られざる先在の父(プロパトール)を理解したいと云う欲望に取り付かれた。彼女はこの欲望の故にプレーローマより落下し、分身アカモートを生み出し、アカモートは造物主デーミウルゴスを生み出した。デーミウルゴスはかくて、この世と人間を創造するのである。

ソピアーの娘・バルベーローはグノーシス主義バルベーロー派において地上の人間を救うとされているが、キリスト教では悪魔とされている。

ソピアーの救済、従って人類の救済と関連して、イエス・キリストグノーシス神話においてはアイオーンと考えられた。

ユングの元型象徴[編集]

分析心理学の創始者であるスイスの精神医学者カール・グスタフユングは、グノーシス主義の研究者でもあったが、人間の完全性を、プラトーンと同様に、精神的な両性具有性の実現にあるとした。また、4が神聖数であることを見出したのであり、オグドアスは、両性具有の実現と、四対のアイオーンの構成する超宇宙として、元型における完全性象徴の具象化と考えた。

自然科学[編集]

地質学[編集]

詳細は「累代」を参照

地質学では、アイオーン(ラテン語 aeon、英語 eon、現代ギリシア語 αιών)は、地球誕生以来の46億年の地質時代を大きく4つに分けた各々で、数億年から十数億年の長さである。日本語ではこの意味の場合に限り、累代と訳される。

時間の単位

時間の単位としては、eon は10億年と定義される。単位記号はAE。たとえば、地球の年齢は 4.6 AE となる。

宇宙物理学者のジョージ・ガモフが、1968年、科学雑誌 Nature 219, 765 にて提案した。

アイオーンの像

ミトラス密儀獅子頭
考古学の発掘等により、ローマ帝政期時代において、頭部が獅子で、人間(男性)の身体を持ち、蛇を全身に巻き付けた神と思える像が発見された。この像は、「アイオーン神の像」と考えられたが、ギリシア神話におけるアイオーンの神の像とも、グノーシス主義におけるアイオーンの擬人化神像とも考えられた。

また近年有力なのは、これはミトラス教の「時間の主神」であるペルシア起源のズルワーンの像であるという説もある。ズルワーンゾロアスター教の神であり(ただし、ズルワーンを主神として崇拝する派は、正統ではないとされる。ズルワーン主義とも呼ばれる)、ミトラス教でも重要な位置を持っていた。アイオーンの像が何であるのか、正確には判明していない。

 
 
 
 

ズルワーン



ゾロアスター教

神々

アフラ・マズダー
スプンタ・マンユ
ヤザタ、ミスラ
スラオシャ、ラシュヌ
ズルワーン
アナーヒター
ウルスラグナ
フラワシ
ジャムシード
ダエーワ
アンラ・マンユ
ジャヒー
アジ・ダハーカ
ザッハーク
アエーシュマ
サルワ
インドラ

聖典

アヴェスター

文学

シャー・ナーメ

人物



ザラスシュトラ
カルティー
アルダシール1世
バハラーム1世

その他


パールシー
ナオジョテ
沈黙の塔

表・話・編・歴

ズルワーン (Zurvān) は、後期ゾロアスター教の一派ズルワーン教に於ける創造神。その名は時間を意味する。

概要

中世ゾロアスター教文献の神話によれば、世界の始まりの時にはズルワーンのみが存在していた。彼は長い時間をかけて、全善なる存在を生み出して世界を治めさせようとしたが、ある時それが可能なのかと疑念を抱いた。

この心の迷いによって、ズルワーンの子は善なる存在と悪しき存在とに分裂してしまった。それが全善の神オフルマズド(アフラ・マズダー)と全悪の神アフリマン(アンラ・マンユ)である。かくして世界はこの双子の神々によって創造され、善と悪とが戦う戦場となったという。

ズルワーン信仰はアケメネス朝時代にまで遡るが、サーサーン朝時代になって、一派をなすほどの勢力となる。またギリシャ・ローマにも信仰は持ち込まれ、アイオン (アイオーン Αιών 永劫の意)と呼ばれた。

本来ゾロアスター教においては、アフラ・マズダーが善悪の対立を超えた絶対神の地位にあり、善の創造神スプンタ・マンユと悪の創造神アンラ・マンユの戦いを裁いて正義の勝利・正当性を保証する役割を担っていた。

しかし、後の神学でスプンタ・マンユアフラ・マズダーと同一視された為、本来の神学におけるアフラ・マズダーのような絶対神が別に必要になった。ズルワーンは、このような事情で創造神として定立されたと考えられている。